230号/スプリスガルト友美

5月。今年も初聖体拝領の季節がやってきた。
 小学2~3年生になって初めてキリストの聖体(白く小さな丸い形状の薄いウェハースのようなパン)を頂くという宗教行事で、大人への第一歩を踏み出すという点においては七五三とよく似て...
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5月。今年も初聖体拝領の季節がやってきた。

小学2~3年生になって初めてキリストの聖体(白く小さな丸い形状の薄いウェハースのようなパン)を頂くという宗教行事で、大人への第一歩を踏み出すという点においては七五三とよく似ている。国民の大半がカトリックというポーランドでは毎年この時期になると、真っ白い衣装に身を包んだ子ども達が教会に入っていく様子が見られる。

一昨年の秋、運よく日本で七五三の七つのお祝いをすることができた娘は、9歳になる今年、今度はポーランドで初聖体拝領を受けることになった。

日曜のミサだけでなく、クリスマス前や復活祭前などは平日の夕方にも娘と一緒にせっせと教会に通い、私までカトリック教徒としての疑似体験をした数か月。娘のためにとあまりに頑張りすぎたのか、夫にまで「これを機に本当にカトリックになったら」といわれるほど、すっかり染まってしまったようだ。

でも「八百万の神様」に囲まれて育った私には、キリスト教のようにただ一人の神様を信じるより、八百万の神様にもう一人キリスト教の神様が加わってもいいのではないか、と考える方が性に合っているようだ。

初聖体拝領のミサの際、教区神父様が話されたことが耳に残っている。「今日の儀式が終わりではなく、始まりなのです。これで教会に通うことをやめてしまわず、これからも神様に会いに教会に通い続けてくれることを祈ります」と。

一度目標を定めると、達成した時にそれに満足してそこで終わりにしてしまいがちだ。だが、神父様の言葉のように、そこから新たに始まる道もたくさんある。継続は力なり。教会通いに限らず、娘にはこれからも「続けることの大切さ」を学んでいって欲しい。

(ポーランド・ポズナン在住 スプリスガルト友美)