第13回 コミュニティラジオのパーソナリティになる

2月末に南フランスに行き、イベントで日本企業の出展サポートの仕事をした。イベントの期間は3日間だが、2日目の終了時に最終日はコロナ対策で開催中止の可能性があるという噂が流れた。しかし、主催者側が入場者制限をするなど工夫をして最終日もイベントは行われ、ことなきを得たのだ。

コロナ禍をうまく切り抜けた気になり、ホッとして日本に帰国したのも束の間、コロナの影響で5月〜6月にパリで出展を予定していた3つのイベントが中止となり、日本での仕事もみるみる減っていく。

この先どうしたものか? と悩んでいるうちにコロナ鬱にもかかり、精神的に参っていた時に、コミュニティFM局湘南マジックウェイブのパーソナリティの仕事が舞い込む。

私の住む二宮町と隣の大磯町、中井町を受信エリアとするFMラジオである。ただし、インターネットを通じて世界中で視聴できる。便利な世の中になったものだ。

地元産の野菜が購入できる市場を紹介し、大磯町の薬局に勤める薬剤師が養生法を語り、3つの町の商店主や会社経営者にインタビューするという地域べったりの番組である。

そこで私はフランス語のワンフレーズを紹介するコーナーを持ち、またゲストにタロットカード一枚引きの占いをするという、地元ネタにちょっぴりスパイスを与える役どころだ。

フランス関係の仕事はコロナでひとたまりもなかったし、パリどころか東京への移動もままならない。そんな中で、収録スタジオは家から車で10分のところにあるので、満員電車に乗る必要もないし、限られた人としか接触しないので、コロナ感染症にかかる可能性も低いと思われる。また、地域に関わる仕事ができるのも楽しい。

パーソナリティのチームワークもうまくいっているし、おかげさまで私のフランス語コーナーを始め、番組自体も反響がいいらしく、この仕事がコロナ鬱から立ち直るきっかけになるかもしれない。

 

江草由香(えぐさゆか)/プロフィール
編集者・ライター・通訳・翻訳者・イベントコーディネーター。
立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。フランスでPRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発フリーペーパー『Bisouビズ』を創刊。現在パリ・フランスとアート&モノづくりをテーマにしたサイト『BisouFranceビズ・フランス』の編集長。個人ブログは『湘南二宮時々パリ』