第14回 私はタロット占い師

ライター、編集者、翻訳・通訳者、イベント企画・コーディネーター、最近ではフランス語講師にラジオパーソナリティも加わり、肩書きがどんどん増えていく私であるが、実はタロット占い師でもある。

そして、ありがたいことに最近タロット占いの依頼が増えている。

ラジオ番組で毎回ゲストの運勢をタロットの一枚引きで占うコーナーを持っているので、その宣伝効果もあるだろうし、お客様の口コミのおかげもある。また、以前、地元のイベントで順番待ちリストを急遽作らなければならないほど繁盛したことがあり、その会場となったスペースで今、定期的にタロット占い会を開催させてもらっている。

私がタロットに興味を持ったのは中学生の時。当時は、クラスメイトの「〇〇くんは私のことどう思っているの?」なんて、かわいい悩みを占う程度であった。その後しばらくタロットカードに触りもしなかったが、10年ほど前にライターの知人がパリに遊びに来て、「最近、占い師になるための勉強をしている」と言ったので、タロット占いをやっていたことを思い出したのだ。

その後、日本に帰国した時に書店で中学生の時に使っていたのと同じカードを見つけたので購入し、再び、友人や知人などを占ってあげるようになった。そうこうしているうちにパリのイベントでタロット占いをするようになって、お客様が付き、タロット占い師を名乗ることになったのだ。

芸は身を助くではないが、コロナの影響でイベントや通訳関係の仕事が減っている今、タロット占いの依頼が来るのはありがたいことだ。

別にこういう状況下で不安を感じて占いに頼る人が増えているというわけでもないようで、お客様の悩みの原因は仕事、家族、恋愛、人間関係など普遍的なものばかり。もちろん、コロナの影響は多かれ少なかれみんな受けていて、それがカードに表れることもあるのだけれど。

私自身もコロナ鬱にかかり、人の悩み相談に乗っている場合か? なんて自問自答することもある。それでも占いの後に「心が晴れました」とか「気持ちがスッキリしました」と言ってもらえると、人の役に立っている気がして嬉しくなり、こちらまで気分が上がったりするのだ。

江草由香(えぐさゆか)/プロフィール
編集者・ライター・通訳・翻訳者・イベントコーディネーター。
立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。フランスでPRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発フリーペーパー『Bisouビズ』を創刊。現在パリ・フランスとアート&モノづくりをテーマにしたサイト『BisouFranceビズ・フランス』の編集長。個人ブログは『湘南二宮時々パリ』