第7回 地元選挙の手伝いをして、ジモティネットワークができる

昨年の11月、近所に住む小・中学校の同級生が町議会議員選挙に初出馬することになり、選挙運動の手伝いをした。人助けのつもりで気軽に引き受けたが、おかげで思いがけずに地元に知り合いがたくさんできたのだ。

私が日本に戻ることを夫の家族に話した時、義姉(義兄の嫁)は「こんなに長くフランスに住んで、日本に戻って友達はいるの?フランスにいる友達と離れて寂しくない?」と心配してくれた。

ただ、日本には定期的に帰省していたので、大学時代のクラスメイトをはじめ親しい友人たちにはその度に会っていた。東京には仕事を通じて知り合ってプライベートでも交流が続いている知人も少なからずいるし、元フランス在住の帰国組との繋がりもある。数年前にFBで高校の同窓生がグループを立ち上げ、以後帰国するたびにオフ会にも参加している。

おまけに日本に住み始めてからはフランス在住の友人、知人が帰省の際に連絡をくれて会う機会も増えた。そもそも今の時代、インターネット特にSNSのおかげで、場所に制約されずに簡単に人と交流ができるので、日本に戻ったからといって人との付き合いが減る、寂しくなるなんてことはないと思う。

ただ、考えてみれば、地元に知り合いはほとんどいなかった。隣のお嫁さん(と言っても私より年上)が色々と親切にしてくれて、ゴミの出し方から植木屋の連絡先まで教えてくれるので、とても助かっているが、それ以外の人とはあまり交流がなかったのだ。

選挙活動は、後援会ブログの立ち上げから始まり、選挙期間中はポスター貼り、選挙カーに乗車してウグイス嬢のサポートをする作業などを後援会メンバーやサポーターが協力して行う。地元在住○十年の80代の方から最近引っ越して来たばかりの同年代の夫婦まで色々な人がいて、楽しく和気藹々とした雰囲気の中ですぐにみんな打ち解けた。選挙が終わった後も町内のイベント、地元の美味しいレストランにふらりと一緒に出かけたり、また、田舎だけあって庭やレンタル農園で野菜作りをしているメンバーも多く、野菜や果物のお裾分けもある。さらに我が家の庭の畑作りを手伝ってくれて、今後は野菜作りのノウハウも教えてもらう予定だ。

「遠くの親戚より近くの他人」ではないけれど、ジモティネットワークの強みは近くにいること。地元で一緒に色々なことができる人がいると心強いし、毎日の生活が楽しく豊かになる。

ちなみに同級生は無事当選して、新人議員として奮闘中。

江草由香(えぐさゆか)/プロフィール
編集者・ライター・通訳・翻訳者・イベントコーディネーター。
立教大学仏文科卒。映画理論を学ぶために96年に渡仏し、パリ第一大学映画学科に登録。フランスでPRESSE FEMININE JAPONAISEを設立し、99年にパリ発フリーペーパー『Bisouビズ』を創刊し、現在日仏バイリンガルサイト『BisouJaponビズ・ジャポン』の編集長。個人ブログは『ビズ編集長ブログ』