159号/凛 福子

文字通り、日本を震撼させた東日本大震災からはや100日。目覚しいスピードで復旧したものもあれば、いっこうに解決の糸口がつかめない問題もある。その中でこれまで自分が築いてきた価値観が変わってしまったという人も少なくない。

そのひとつに「結婚観」があるようだ。テレビやウェブ上の記事などにも何度も取り上げられ、興味深く眺めつつも、私自身としてはまったくもってピンとこない事態である。

震災を機に結婚を真剣に考える人が激増し、この不景気にあって婚約、結婚指輪の売上や、結婚式場の予約ばかりが右肩上がりなのだという。ひとりでいること、このままでいいのだろうかという漠然とした不安から……という心理は、まったくわからないわけではないが、それらは結婚すれば解決するようなこととは思えない。

一方、離婚も増加しているという。いざという時に頼りにならなかったから、あるいは、その後の対応で向いている方向の違いが浮き彫りになった、という理由が多く挙げられるようだが、こちらはまだうなずける。やはり、結婚しているからといって、頼れる相手がいて不安から救われるとは限らないわけだ。もちろん、専門家はこのような相談例については、とにかく頭を冷やして考えるようにというアドバイスをするという。

結婚にしても、離婚にしても、人生における一大事を、この非常時に決めてしまうことこそ、不安なことではなかろうか? そんな迷走気味のムードがただよう日本の将来に不安を覚える今日この頃である。

(日本・東京在住 凛 福子)