222号/スプリスガルト友美

「犬の介護」という言葉がある。ペットを介護するなんて他人事のように思っていた。人間ではないのだから、なんて大げさな、と。しかしそのことが現実となって自分の前に現れたとき初めて、大変な問題なのだということに気づかされた。

15歳3か月になった我が家の大切な家族の一員、コリー犬のチラのことだ。チラが生まれたのはバルト海沿岸のグディニャ。5年前夫の仕事の都合で2年間滞在したグダンスクのお隣の町だ。そんなことを知ってか知らずか、元気に浜辺を走り回っていたことがつい昨日のことのように思い出される。

昨年の今頃、日本に滞在する5か月の間知人に預けて行かなければならず、私と夫はもう会えないことも覚悟したのだが、娘は帰ってきたらまた一緒に遊べると信じて疑わなかった。そしてチラは頑張って待っていてくれた。

また一緒に暮らし始めてから半年経った今、アパートの30段ある階段も昇れず、1日2回行く往復50メートルほどの散歩の最中も、2、3回は座って休まなければならないほど足腰がすっかり弱ってしまった。足が痛いのか、かがんでご飯を食べるのも一苦労。そこでチラの腰を支えてあげたり、エサの入ったお皿を持ってあげたりというチラの“介護”が始まった。8歳になった娘も、これまでたくさん遊んでもらったから今度は私が面倒を見る番、とばかりに一生懸命お世話してくれている。

20キロあるチラを抱っこして階段を昇り降りするのは大変だし、足が痛いのか夜中に歩き回る音でこちらが寝られないこともしばしば。それでもあと何か月、いや何日一緒にいられるか分からない。チラと過ごせる一日一日を家族みんなで大切に過ごしていきたい。

(ポーランド・ポズナン在住 スプリスガルト友美)