263号/スプリスガルト友美

3月7日、私の住むポズナンで、第18回日本語弁論大会が開催された。いまや全世界に広まるコロナウィルスの影響で開催が危ぶまれたが、無事に決行されることとなった。

参加者はポズナンにあるアダム・ミツキェヴィチ大学日本学科の2年生19名。光栄なことに、私は審査員の一人として参加させて頂くことになった。昨年に引き続き2度目だ。テーマは、ゴミ問題や病気の話などの社会的なものから、ヨーロッパと日本を比較するという文化的なものまで多岐にわたり、どれも興味深いものばかりだった。

実は私も彼らと同じ大学2年生の秋に、ポーランド語スピーチコンテストに出場したことがある。あの頃はポーランド科ができて間もない頃だったこともあり、出場者は私を含めてたったの8名だった。ほんの数分のスピーチだったに違いないのだが、あの緊張感と終わった後の充実感は昨日のことのようによく覚えている。それだけに、大会参加者全員を表彰してあげたい気持ちになったのだが、点数をつけ、順位を決めなければならないのがつらかった。

日本語弁論大会からわずか4日後、ポズナンでも感染者が見つかったのを機に、市内の幼稚園から大学までとそれに加えて博物館や動物園、映画館といった公共施設が全て2週間閉鎖されることが決まった。それと前後するように、同様の決定が全国で下された。さらに13日には、15日から国境を封鎖し、まずは10日間空路・陸路・水路であらゆる国際線を欠航することが発表された。

今大会の上位3名が、今月下旬にワルシャワで開催される弁論大会へ出場することになっていたのだが、肝心のその大会も延期になったとか。5年に一度ワルシャワで開催されるショパン国際ピアノコンクールの予備予選も、4月の予定だったのが9月に延期になってしまった。

この先どうなるのか本当に不安だが、公共施設を閉鎖したり、あらゆるイベントを中止にしたりすることによってコロナウィルスが終息に向かってくれることを祈っている。

(ポーランド・ポズナン在住 スプリスガルト友美)