262号/椰子ノ木やほい

今月からメキシコ発、山本真希子さん寄稿の「情熱の国メキシコの結婚・離婚・恋愛事情」が始まった。これまでの地球丸では見られなかった“アダルト”な内容に驚かれた方もいるのではないだろうか?  わたしにとっても、「メキシコにいる元気ママ」のイメージが強い彼女なので、今回の刺激的な内容には最初、固まってしまった。アノ真希子さんが顔を赤らめながらもこんなオトナトピックで寄稿してくれるとは!! って感じだ。

そうか、メキシコでこんな会話ができるお友だちがいるんだ、そして、メキシカンのお友だちがあっけらかんと性を楽しもうと挑んでいく姿を、“伝えよう”と考えた彼女が「タブーを打ち破ろう」としているように思えて、頼もしく感じた

読みながら、以前地球丸でも紹介したプラド夏樹さんの本『フランス人の性』の帯にあった「50から60代の90%以上がセックスを楽しむ」というフレーズを思い出した。セックスレスが社会問題化すらしている日本では、既婚未婚に関わらず「性を楽しむ」という発想自体が定着していない気がする。不倫や違法行為など不道徳なものは論外として、大人が問題にならない状況下で責任を持って楽しむのなら、個人的には恥ずべきこととも思わないのだが、ことさらにタブー視するのはやはりお国柄だろうか。

少なくともわたしは、日本語で日本人の友人とオープンに性にまつわる会話を楽しんだことはない。もしそんな機会があったとしても、羞恥心に襲われてその場にいられないだろう。英語でなら平気だが……。性にまつわることを異常なまでにオープンにできないのは、長年わたしたちの中に「愛情表現」であるべきことが「わいせつな行為」「恥ずべき行為」と変に刷り込まれているからかもしれない。もっとも、これは、昭和生まれのわたしの感覚であり、今どきの日本の若者たちはこのメキシコの彼女たちのようにオープンに語り合っているのかもしれないが……どうなんだろう

人柄なのか、世代柄なのか、お国柄なのかなど気になるところである。

 

(アメリカ合衆国・ミシガン州在住 椰子ノ木やほい)