第5回 行きつけの国~その2インド~

ハンドキャリーの同僚はこぞって、インドを敬遠している。いろいろとややこしいからだ。そのめんどうくささたるや、とても一言では語れない。しかし、それこそがインドの醍醐味。楽しまなければもったいない。かくして、ほいほいインドに行くスタッフとして、私は非常に重宝がられている。

 

デリーで見かけた足場が木で組んである工事中のビル

一昨年、インドみやげに強烈な下痢をもらい、1ヶ月寝こんだ。おかげで病み上がりに受けた健康診査の結果は低コレステロール。平たく言えば、栄養失調だ。原因は屋台のサトウキビジュースである。以前、中米でアメーバ赤痢をくらって以来、めったなことでは中(あた)らないのだが、さすがおそるべしインド。しかし、これでインドの洗礼は終わった。もはやインドはアウェイではなく、晴れてホームとなった。痩せたいあなたは、アーユルベーダを受けずとも、デトックスできるインドへどうぞ。

さて、6度目のインドビザを更新した。この3年半、切らしたことがない。10年有効のパスポートはすでに8年目を迎えた。増補して、さらに自動化ゲートが使えるようにしてある。機械でパスポートを読み取り、指紋を押せば、セルフ出入国ができるので、日本の出入国スタンプをパスポートに押さずにすむのだ。これでスペースを節約して、あと2年持たせるつもりだったのだが、あまりにも出入国が多すぎてICチップが劣化したらしく、読み取らなくなってしまった。

ところが、茗荷谷にある東京インドビザ申請センターから、新しいビザとともに戻ってきた我がパスポートはインドの洗礼を受けていた。自動化ゲートで再び読み取れるようになっていたのである。ICチップの磁気が勝手に復活するとはとても思えない。インド人のしわざに違いないのだが、いったいなにやったんだよ、インド人! 日本にいながらにして、インドの摩訶不思議を体験してしまうのだから、彼の地はさらにすごいのである。経済発展が著しい活気あふれるインドの話はまたいずれ。

片岡恭子(かたおか・きょうこ)/プロフィール
1968年京都府生まれ。同志社大学文学部社会学科新聞学専攻卒。同大文学研究科修士課程修了。同大図書館司書として勤めた後、スペインのコンプルテンセ大学に留学。中南米を3年に渡って放浪。ベネズエラで不法労働中、民放テレビ番組をコーディネート。帰国後、NHKラジオ番組にカリスマバックパッカーとして出演。下川裕治氏が編集長を務める旅行誌に連載。蔵前仁一氏が主宰する『旅行人』に寄稿。新宿ネイキッドロフトで主催する旅イベント「旅人の夜」が6年目を迎える。ロックバンド、神聖かまってちゃんの大ファン。2013年現在、46カ国を歴訪。
処女作『棄国子女~転がる石という生き方~』(春秋社)絶賛発売中!

以下、ネット上で読める執筆記事
春秋社『WEB春秋』「ここではないどこかへ」連載(12年5月~13年4月)
カジュアルプレス社『月刊リアルゴルフ』「片岡恭子の海外をちこち便り」連載中(08年8月~)
東洋マーケティング『Tabi Tabi TOYO』「ラテンアメリカ de A a Z」連載中(11年3月~)
朝日新聞社『どらく』「世界のお茶時間」ハーブの国の聖なるお茶 Vol.22 ペルー・アンデスのマテ茶(10年2月)
朝日新聞社『どらく』「世界の都市だより」リマのひと マテオの口元ほころんだ(06年11月)
NTTコムウェア『COMZINE』「世界IT事情」第8回ペルー(08年1月)