地球スタイルで子どもを育てている、世界各地に在住のライターが独自の視点で綴ります。

話せばわかる?(在フランス・パリ)/夏樹

 フランスでは、親が子どもにあくまで真実を語ろうとする、その真摯な、でもちょっと「?」な姿勢に驚かされることがある。

 

 たとえば、親が子どもに離婚の理由から経過まで詳細にわたって打ち明けるので、まだ舌足らずな子どもの口から「家庭裁判所」やら「調停」、「弁護士」などという単語が飛び出し、啞然としたことがある。

 

 養子縁組みをするカップルも多いが、まだ、ほんの乳飲み子に「あんたのね、本当のお母さんは南米のコロンビアっていうところに住んでいるんだよ。でもね、お母さんは貧しくてあんたを育てられない、だから、私たちが代わりに引き取ったんだよ、おーよしよし」などと、四六時中、執拗に説明している。

 

 この「言葉のもつ魔術」は、とくに母子の間で深く信仰されているようだ。「子どもは知らなくてもいいことって、あるんじゃない?」なんて言おうものなら、すかさずバッシングされる。「重大でショッキングなことこそ、隠さないで、子どもがわかろうとわからまいと言わなくてはいけないのよ。口に出していうことで、私も、問題を客体化できる。そして、子どもも『そんなに大したことじゃないのかもしれないな』って思えるようになるの」と。

 

 小児心理の権威として、フランスのママンたちの絶対的支持を得て読み継がれているドルトー氏の著書によれば、夜泣きをする、食欲不振などの症状をもつ赤ちゃんの多くが、この「話せばわかる」術で快方にむかうそうだ。

 

 【朝日小学生新聞「朝日おかあさん新聞」掲載】

当サイトでは、各国在住のライターが現地発で、子育てや教育に関する情報やエッセイを発信しています。

【各媒体の編集者さま】

原稿や企画のご相談は、ご用命希望ライター名を明記のうえ、お気軽にメールにてお問い合わせ下さい

■サイト運営・管理人

   椰子ノ木やほい

■姉妹サイト

  海外在住メディア広場