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幸せを願う伝統儀式 (在ネパール)/うえのともこ

子どもの成長過程でさまざまなお祝い事や行事があるのはネパールも同じだが、カトマンズ盆地土着のネワール族の女性は一生に3度結婚するといわれ、大変珍しい結婚の儀式を行う。

 

旧市街のレンガ造りの建物に囲まれた広場に、赤い衣装にきらびやかな金の装飾品を身につけ、お化粧をした5歳から10歳頃の女の子たちが集合していた。この日は初めての結婚「イー」の日。お相手は不死身とされる果実マルメロの実の一種で、将来未亡人になることがないようにという意味があるそうだ。朝から司祭によって祈祷が執り行われ、女の子たちは縁起物のほら貝、牛乳、お香、米、染めた綿糸などの前に座り、一連の儀式は3日間にわたることもある。

 

 2度目の結婚は「グッファ」(直訳で洞窟)と呼ばれ、初潮を迎える前の12歳ごろまでに行われる。12日間、日の射さない部屋にこもって簡易な断食をするが、この間男性の姿を見ることは禁止されている。最終日に部屋から出てきて太陽との結婚となる。

 

いよいよ3度目が本当の人生の伴侶との結婚だ。果実や太陽は神の象徴で、嫁ぐ娘の健やかな成長と幸せの願いが込められた人生儀礼の伝統が今も変わることなく受け継がれている。

 

朝日小学生新聞「朝日おかあさん新聞」掲載】

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