分かち合いに助けられて~(元サモア)/椰子ノ木やほい
我が家の四人の子どもたちは、南太平洋に浮かぶサモアという小さな国の学校に四年間通った。ポリネシアの文化を色濃く残すこの国では小さな頃から助け合うことや分かち合うことはとても大切なことだと教えられる。
たとえばモノについても「有る人が無い人に貸す」「無い人は有る人から借りる」というのは自然なこと。そんな背景もあり、サモアでの貸し借りにまつわるエピソードは数えきれない。
ランチタイムのお弁当は、忘れた子もご馳走の子も持って来る気のない子もいっしょになって、そこにいる友だちと、そこにあるお弁当を分け合い、つまみ合い食べていた。
小銭のある子が飲み物を買えば、損得なんてセコイことは言わず居合わせた者みんなで回し飲みをしていた。(衛生的に云々はあっちに置いといて)定規を忘れた息子に自分の定規を折ってまで貸してくれた友だち(モノを大切にすることより貸すこと優先らしい)もいた。
「目の悪い子に君のメガネを貸してあげなさい」とおっしゃる先生の発言には、思わず「ウッソ~」と叫んでしまったけれど、それも助け合うやさしさからだと思うとつい笑ってしまい、心はホンワカしたものだ。
もっともそんな中で毎日学校生活を送らなければならなかった子どもたちにとってはホンワカばかりではなかったかもしれないが......。「分かち合い」に助けられたことはまちがいない。
【朝日小学生新聞「朝日おかあさん新聞」掲載】