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南の島の教材は?工夫しだいで、なんでも教材に!(元サモア在)/椰子ノ木やほい

 我が家の子どもたちは、南太平洋に浮かぶ小国サモアの公立学校に4年間通った。そのおおらかさは、日本とは対照的と言えた。ニュージーランドの教育システムに準じ、教育にはそれなりに力を入れているとはいうものの、途上国ゆえ教科書をはじめ教材はないに等しい。しかし、ないがゆえの工夫を見た。

 

 たとえば「数の勉強をするから、棒を持っていらっしゃい」と先生がおっしゃれば、子どもたちは庭で拾い集めた小枝をたくさん抱えて登校。南の島の"数え棒"だ。

 

 音楽の時間に活躍する"楽器"は、バケツをひっくり返して叩く"たいこ"で、このリズムに合わせ、子どもたちは手拍子を打ちながら見事な合唱を聴かせてくれた。サモア流音楽の授業だ。

 

 こうした、先生方のアイデアであるものを工夫し教材にしてしまう術にはひたすら感心した。また、教材に頼れない分、子どもたちは必死に先生の言葉に耳を傾け、ノートを取る。そのノートが個々の教科書となるからだ。

 

 その様子を眺めながら、恵まれすぎもよくないかも?と思いかけたころ、子どもたちのノートを覗くと、まちがって習っていることも発見。「う~ん。先生も人間だからたまにはまちがう......」ってことにしておこう。

 

【朝日小学生新聞「朝日おかあさん新聞」掲載】

 

 

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