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多様化する日本の園児たち(在東京)/えふなおこ

 3歳になる息子の通う保育園は、目黒・世田谷・渋谷どこからも近く、車での送り迎えも許可されていて便利だが、平凡な東京都内の認可保育園。園児の生活も日本の文化や生活習慣をベースにしている。お正月のお餅つきや豆まき、ひな祭りなどの行事があり、おやつにおにぎりが出る。

 

 子供も親も先生も日本語でコミュニケーションし、日本ならではの保育園ライフを送っているのだが、ここには、両親のどちらかが外国人という園児が何人もいる。また、海外から転勤で日本に来ている駐在家族など、一時滞在の外国人家族の子供たちも結構いる。


 日本に定住している人々で、家族のうち誰かが日本人ではないことはもう珍しくない。厚生労働省の調査でも、息子と同じ2006年生まれの日本の新生児で、親のいずれかが外国人の割合は30人に1人という。日本の多様化は進んでいるのだ。それでも「ハーフ」「ミックス」「帰国子女」「在日外国人」など、様々な枠はいまだに存在する。日本人の両親を持ち、日本で生まれ育ち、日本語で教育を受け、日本だけで暮らす、それらすべてを満たさない場合、「何かが違う」と周囲に受け取られたりする風潮は、まだある。

 

 しかし、今こうして息子の保育園を見ると、日本がようやく多様化を受け入れはじめたのを感じる。私の子供時代よりはマシということか。当時、両親のいずれかまたは両方が日本人でない、日本で育っていない、日本語で教育を受けていない、将来日本で暮らすかどうかわからない、そういうわが子を「日本の普通の保育園」に入れても大丈夫かな、と昔の親たちは慎重にならざるをえなかった。私自身も多様性に不寛容な日本を何度も目撃し、経験した。

 昔との違いを最も感じるのは、仕事の都合で一時滞在するだけの外国人家族がわざわざ日本の保育園を選ぶこと。こうした家族は、数年でまた日本を離れてしまうし、インターナショナルスクールや母国の教育システムを持つ都内の保育園・幼稚園もあるのに、日本の保育園を選択しているわけだ。逆に考えれば、日本人の海外転勤族が、子供を現地校に通わせるのと同じかな。居住地のライフスタイルを経験するのだ。

 小さな息子にとって、保育園という日常の中でお友達を通して多様性に触れることができるのはいいことだと思う。まだわからないかもしれないけれど、広い世の中にあるもっといろいろな民族や言語、それぞれ違うライフスタイルがあることを知るきっかけを感じてほしい。人間の多様性の素晴らしさについて、全部違っているけど全部いいんだよ、って少しずつ話していきたいと思う。

 


 

 

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